六つの短編集。
二匹の猫が語り手の「しずく」は、恋人たちがどんどん変化していく様子に、
日常の大切さを痛感させられる。
豪華ではなくても温かい手料理、清潔な住まい、
そういう積み重ねが幸福な日常につながるのだと改めて感じる。
個人的には、この「しずく」が大好きです。
そして、「シャワーキャップ」では、母と娘の物語。
母と娘、親と子が逆転している二人。
頼りたくても頼れる人がいない娘の心情がリアルに描かれている。
これをちょうど読んでいる頃に、私も母とこういう状態にあったので、
ものすごく共感してしまった。
小さいころから、家は母親と娘が逆転していた。
それをうっすらと気づきながらも、甘えたくて、
気づかないふりをしていた。
けれども、ひょんなことから、
その逆転した状態を明確に自分に突き付けられた。
私には、ずっと頼る人がいなかった。
だから、夫は世界で唯一心の底から許せて、
一緒にいるだけで安心できて、頼れる人。
私は母親には恵まれなかったけど、
その分、友達や夫に、周りの人に本当に恵まれたのだと思う。
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