2016/03/16

『西洋菓子店プティ・フール』千早茜







頑固なじいちゃんと孫娘でパティシエの亜樹が営む
西洋菓子店プティ・フールで繰り広げられる6つの連作短編集。


亜樹とおじいちゃん、
亜樹の後輩の澄孝、
常連客で摂食障害の専業主婦、
澄孝に思いを寄せ、流行のファッションに身を包むネイリスト、
そして、亜樹の恋人祐介。

彼らの人間模様が、ケーキと交わり、
その甘さに心もほぐれていく。

なんといってもケーキの描写がとても美しい!

じいちゃんが作る昔ながらのケーキと、亜樹が作る本格フランス菓子。
シュークリーム、キャラメルポワール、プティ・フールなど、
おいしいケーキがたくさん出てきます。



「結婚できるって幸せなことだよ。法が愛を守ってくれて家族になれる。
当たり前の選択しだと思っているのかもしれないけれど、誰もが選べるわけじゃない。」


「他人なんだから、自分の想い通りにいくわけないだろう。
いつだって同じ方向を見ていると思うな。」


「夫婦は他人で作るものだと思う。
二人で倒れないように。違う人間でいいのだと思う。」


個人的には、恋人祐介との章が心にしみました。
夫婦の在り方とか、そういうものを考えさせられた。


私はきっと夫に甘えているんだなって。
その割には夫を甘やかしてあげてないなってね。

反省。




季節の移ろいと、その人間模様と、
甘いケーキに心温まる物語です。
あったら嬉しいけど、なくても困らない
そんなケーキとパティシエを最高に輝かせています。

きっとケーキが食べたくなるはず。

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