あー、このジメジメとまとわりつくような湿気はいつまで続くのかしら。
湿気は嫌だけど、雨は別に嫌いではない。
雨が続いているときこそ、読みたくなる本。
吉田篤弘の「レインコートを着た犬」。
「つむじ風食堂の夜」、「それからはスープのことばかり考えて暮らした」に続く、
月舟町を舞台にした物語。
小さな映画館月舟シネマの看板犬ジャンゴが主人公。
ただただジャンゴの目線で静かに進む物語の中に、
生きることへの希望や意味、喜びが綴られていて、
まさに雨が希望に感じられるお話でとてもほっこりした。
雨の音を聴きながら、ゆっくりと丁寧にページをめくることさえ、
とても美しい一瞬に変わるような本。
「生きなければ答えは出ない。
生きれば生きるほど、それまで見えなかったものが見えてくる。」
「雨は地球の喜びだったのである。」
「本当に好きなら、やめないこと。逆に云うと、
やめたってことはなんだかんだ云っても、気持ちがさめたってことだ」
名言がいっぱい。
胸の奥のほうからじんわりと広がる温かい言葉たち。
きっと、雨の日が待ち遠しくなる本。
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