2016/06/28

『本屋さんのダイアナ』柚木麻子








雨の日は読書に限る。

この湿気は吐き気がするほど嫌になるが、

雨はゆっくりと読書しようという気持ちになるから好き。



それにしても待てど暮らせど順番が来なくて、

やっと文庫化されるーってなったら、順番がきた「本屋さんのダイアナ」。

柚木さん人気かな。



髪は金色でバサバサ、シングルマザーの母親を持つダイアナと、

出版社で働く父と料理教室を開いている母の下、裕福な家庭に育つ彩子。

正反対な二人が小学生で出会い、お互いをうらやましく思いながらも

腹心の友となり、その後のお互いの人生が交錯していく。

二人の目線で描かれていて、とても面白い。



まるで赤毛のアンを読んでいるような、少女物語から、

高校、大学と成長するにつれて、女子特有の嫌な雰囲気が流れ始める現代小説。


前半がとても好きすぎたから、

後半の彩子の変貌ぶりに、生々しさがどうも陰気な感じになったけれども、

それでも、自分を解き放つのは自分だよなと痛感。


彩子は、こんなはずじゃなかったと思いながらも親を罵り、

今の私は親のせいでこうなったと思い込む。

そして、つらい出来事を受け入れられずに、どんどんと迷走していく。



でも、最後は、柚木さんらしい、後味スッキリなさわやかなしめくくりで

とてもよかった。


作中、森茉莉、向田邦子等の本も出てきて、

読書好きにはたまらない一冊だと思う。


ただひたすらに本が好きな女の子の物語、

ぜひ。




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